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NEODEAD MUSIC BLOG

音楽を思考する

Rage レビュー

はじめに

Rageはid Softwareが開発、ベセスダソフトワークスがパブリッシャーを務めたFPS作品。
開発が明らかになったのは2007年6月。2011年10月4日に発売されたことから、およそ4年の歳月をかけて製作されたことになる。
日本版はフルローカライズ(吹替)で、海外版からの表現規制は一切なし。サーバーも全世界共通である。(CEROレーティングはZ。)
Xbox 360PS3ともに定価は7980円。ちなみに容量の都合上、Xbox 360版は3枚組となる。


美しいグラフィック

このゲームを起動してまず最初に感じることは驚異的とも言えるグラフィックの良さである。
これは最初に遠景描写のシーンをプレイヤーに見せることで、より体感的なアピールに成功した形だ。
今年はすでにCrysis 2が登場し、現行機史上最高レベルのグラフィックと評されたが、Rageも全く負けていない。むしろ勝っているとさえ感じたぐらいだ。

しかし、この緻密に描かれたグラフィックは第一印象ではプレイヤーに好感を与えるものの、いざプレイしてみると人によってはその評価も変わってくるだろう。
発表ではフレームレートが60fpsということだが、これはつまり1秒間の動画に60枚の静止画が使われている計算で、いわゆる3D酔いの原因にもなる。
巷では「ヌルヌル」という表現がよく使われるが、こうした高精細な絵に慣れていない人にとっては戸惑いを感じることになるかもしれない。
筆者も過去にBioshock 2やSkate 2などにおいて60fpsの世界に触れていたとはいえ、思わずTVモニターから距離を取ったのは事実だ。
もちろん感じ方は人それぞれあると思うが、総じて目が疲れやすい映像であるということは最初に明記しておきたい。


退廃的な世界観

美麗なグラフィックの次に訪れた印象、それはFallout 3にも通じる終末的な世界観を描いていたことだ。
これは舞台となる世界がウェイストランドと名付けられている点からも容易に想像出来たことではあるが、退廃的な雰囲気が好きな人にはたまらないデザインと言えよう。
最初の街はまるでBordelandsに出てくるNew Havenそのものだったし、エリアを結ぶ荒涼とした大地はRed Faction:Guerrillaを彷彿とさせた。
また、シナリオが進むにつれて登場する地下鉄マップなどはMetro 2033でも見たことのある景色である。
加えてオールドスクールな武器に骨格むき出しのバギー車両、街に散見される蒸気を吐き出す機械等、つまり本作はスチームパンクを基軸としたデザインということが分かる。

このようなRageの世界観はSF好きなシューターにとって素晴らしく魅力的なものだが、裏を返せばおよそ新鮮味のあるデザインとは到底言えないだろう。
私も上段で挙げた作品を全てプレイ済みだったからこそ、余計に「どこかで見たような」世界に感じてしまった。これははっきり言ってデジャヴである。
ゲームの舞台設定に新鮮味があるかどうかという点は非常に重要な要素でもあり、プレイヤーが飽きを感じてしまうか否かの判断の分かれ目ともなる。
この点において、Rageの世界観は相当に魅力的だが、「ある意味で没個性」という結論が導かれてしまうのは少し残念でならない。


快適な操作性

肝心の操作性についてだが、FPS作品として見た時、Rageは非常に良く出来ていると感じた。
それはサイトを覗く動作やリロードアクション、発砲音やブレなど、武器ごとに細かいところまで丁寧に作られていることが分かる。
特にスコープを使用することによってハンドガンが疑似スナイパーライフル化するところなどはアイデア賞ものである。
またウイングスティックと呼ばれるブーメランタイプの武器の存在は戦略性を豊かにするもので、このサブウェポンの概念はシューターの好奇心を満足させるものだった。

それでも武器の種類に関しては決して豊富とは言えないレベルであり、その代わりに弾薬の種類が多数用意されているのは何となく誤摩化された気もする。
この弾薬は場面に応じて使い分けることを促されるため、戦闘中での操作がやや煩雑になってしまったのも洗練されていない印象を受けた。
水辺にいる敵に対しては電撃属性の矢を放ったり、戦略を練る楽しさが生まれている点は着目したいところだが、Borderlandsのようなバラエティ豊かな武器の存在を期待すると思いっきり肩透かしを食らってしまうだろう。

革新的、とまではいかないかもしれないが、例えばボウガンの矢の種類に、敵に命中した瞬間からその敵を操作して自爆させるものがあった。
Rageの硬派な戦場でこれが実用的かと問われれば答えは否であるけれども、発想としてはとてもユニークなものだと感じた。
こういった新機軸の要素がもっと欲しかったのが本音だ。さらに言えば弾薬のみならず、武器の種類も属性の概念を取り入れる等、もっと工夫が欲しかった。
このあたりはSF系FPSとして期待していた分、落胆も大きかったのは事実である。


システムはRPG<<<FPS

Rageは「ほんの少しのRPG要素を持ったFPS」ということで語弊はない。
この点についてはBordelandsと比べると分かりやすいかもしれないが、あちらがRPG成分多めのFPSなら、Rageのシステムは淡白そのものである。
基本的にプレイヤーにレベルアップの概念はないし、RPG的と思われるのは前述した弾薬の種類やアイテムの作成、そして武器のアップグレードなどおまけ程度だ。
言い換えれば、Metro 2033やCrysis 2などのオフライン専用のFPS作品にとても近いスタンスだと思われる。

このスタンスは名作Doomを産み落としたid Softwareならではとも言えるが、結論から言えばこういったRPG要素はなかった方がスッキリして良かったように思う。
中途半端なRPG要素はキャンペーンが進むにつれてプレイヤーの期待値を無駄に高めてしまうものだし、先に述べた通り、戦闘時における弾薬の入れ替え作業などはその操作含めて極めて煩わしいものだった。

RPG要素自体はプレイヤーのモチベーションの持続に貢献するものだが、今回のような中途半端な実装は誤解を招く恐れもある。
うまく言えないが、コース料理を頼んだものの、いつまで経ってもメインディッシュが運ばれてこないような物足りなさを感じてしまうのだ。
だからこそRPGという概念は最初からメニューになくても良かったのではないかと思ってしまうのである。
逆にRPG成分をちりばめるなら、例えばアーマースーツのアップグレードにしてもカラーバリエーションまで用意するとか、もっと手を加えることも出来たはず。
FPSの部分は非常に良く出来ていた分、その反動で今回のシステムに不満が出てしまうのは仕方がないのかもしれない。


優れたマップデザイン

Rageは一見箱庭タイプのゲームと錯覚してしまいがちだが、基本はエリア制圧タイプの一本道シナリオと言える。
エリア間の移動に関してはブーストを使ったダッシュが可能な乗り物のおかげでストレスはあまり感じなかったが、常に敵車との戦闘を強いられる点については賛否の分かれるところだろう。
Farcry 2ほどではないものの、1度殲滅した敵拠点の復活が早いのも少し気になった。

1つ1つのマップデザインは探索型FPSの代表的作品Bioshockを彷彿とさせるもので、この点についてはBordelandsよりも起伏に富んでおり、丁寧な仕事ぶりが窺えた。
Bioshockと同様、マップには無造作にアイテムが転がっているのでプレイヤーはそれをチェックをするわけだが、ロッカーや机の引き出しまで開けたりすることはない。
Bioshockではそういった探索が1つの楽しみでもあるが、机の引き出しやゴミ箱の中まで調べる必要があるのはシナリオのテンポを大きく阻害するものだと個人的には思っている。

さて、戦闘に遭遇するとまず自分のポジションをどこに置くかという思考を促すデザインになっており、これにより物陰からの暗殺タイプと真正面からの突撃タイプにプレイヤーは分類されることだろう。
どちらのパターンで攻略しても敵AIの動きはなかなかに巧妙で、叫び声を上げながらこちらに向かってくる者もいれば遠くから遠距離射撃のみの者もいて、その配置も含めてよく考えられていたと思う。
加えて海外版と同じオリジナルのゴア表現を味わうことが出来るので、ウイングスティックで首が派手に飛んでいく場面など、戦闘におけるカタルシスという点では非常に快楽的な作品に仕上がっているのは確かだ。
これに前述した操作性の良さも加わり、各エリア制圧がゲームの楽しみに直結していることは紛れもない事実である。
このような退廃的で戦略的且つ美しいマップデザインはデベロッパーの本領発揮と言える部分でもあるし、この点についてid Softwareはもっと胸を張るべきだろうと思う。


平凡なキャラクターデザイン

Fallout 3などの終末的な世界を遊び歩いてきたプレイヤーにとって、Rageに登場するキャラクターに魅力があるかどうかについては少々疑問が残る。
確かに女性キャラクターについては洋ゲーらしからぬルックスを誇り、服装だけでも細かいところまでデザインが行き届いた印象だ。
しかしながら、あくまでもリアリティに寄せて作られたのだろうか、およそゲームらしいブッ飛んだキャラクターの存在が見当たらなかったのはとても寂しかった。
敵の造形にしてもFallout 3のグールやレイダーを見慣れた人間にとっては特に何の発見もなく、加えて日本語吹替の妙な「普通さ」もあり、そこはただただ残念に思った。
余談だが、Fallout 3における中国軍兵士の日本語吹替ぐらいの「お遊び」要素があっても良かったのではないだろうか。

開発側は魅力あふれる個性的なキャラクターばかり集めたと胸を張るが、いざプレイしてみるとデスクトップの壁紙にしたいほどのフェイバリットな存在はいなかった。
そもそもFPS作品というのは、主人公の容姿さえこちらからは見えないだけに、脇を固める個性的で魅惑的なキャラクターの存在が不可欠である。
今回の主人公にしてもこれぞスチームパンクの申し子と言えるような、誰もが納得するようなキャラクターデザインであって欲しかったが、蓋を開けて見ればFractureの主人公のように平凡で無個性でつまらないものだった。
Bordelandsがワンパターンなクエストの連続という致命的な欠陥を抱えていたにも関わらずそれでも好評を得たのは、ひとえにあの個性的なキャラクターデザインに帰依する部分が多かったように思う。
本作は世界観がしっかりと確立していただけにそこは残念だった。


おまけとしてのマルチプレイ

結論から言うと本作のマルチプレイはあってないようなもので、基本的には車を使ったレースゲームと2人coopの2種類のみ。
これを潔しと受け止めるか、それとも貧弱なマルチと受け止めるかは人それぞれであろう。
個人的にはシングルキャンペーンが好きなだけに、たとえ本作がオフライン専用であっても困らなかったとは思う。
むしろマルチプレイをこのように簡素化することでキャンペーンをじっくり楽しんで欲しいとする開発側の意図を読み取ることが出来た。

ただ、すでにBorderlandsGears of War 3においても4人coopというのは当然の如く実装されていたわけで、それを考えた時に本作の物足りなさ、食い足りなさというのはやはりどうしても残ってしまう。
若干ではあるがキャンペーンにおいてもテクスチャの貼り遅れなどが見受けられ、技術的に多人数オンラインへの対応が難しいということもあったのかもしれない。
それでもやはり期待をしてしまうのは、日頃からオンライン対戦が好きなシューターの性であろう。
DLCでの対応は厳しいだろうが、本作の続編がもしあるとするならばそこはぜひ期待しておきたい部分でもある。

マルチプレイ自体はキャンペーンの世界観を受け継いだもので、特に違和感は感じなかった。
日本版も全世界共通サーバーということもあって発売当初の今は賑わいを見せており、マッチングにもさほど時間がかからない状況だ。
試しに2人coopを外人と組んでプレイしてみたが、ラグが酷かったこと以外は概ね好印象だった。
感覚的にはSplinter Cell:Convictionのcoopに近いと思われる。
それでも本作がシューター向けのFPS作品ということを考えると、やはり対戦モードは欲しかった気がする。
せっかく良質なマップがキャンペーンにあるのだから、それを活用しない手はないと思うのだが。。。
全体的に取って付けたような安っぽい印象が否めないマルチプレイだったように思う。


キャンペーンはボリューム不足

Xbox 360版は3枚組だが、キャンペーンについては実質Disc1とDisc2である。(Disc3はマルチプレイ専用となっていた。)
そのインストール容量は20GBを超え、プレイ前は相当なボリュームのキャンペーンを期待していたが、終わってみれば10時間にも満たないコンパクトなものだった。
正直言ってこのボリュームは肩透かしに近い。確かにサブクエストにはあまり手を付けずにメインクエストを中心に進めた結果ではあるものの、比較的短い方だと思う。

肝心のシナリオについても終盤までプレイヤーの緊張感が保たれることはなく、感情移入させるほどの魅力があったとは到底思えない内容だ。
中盤から一気に急ぎ足になっていくところは少しドタバタにさえ感じてしまった。id Softwareにストーリーラインを期待することはこれ以降改めたいと思ったほどだ。
高難易度でのエリア攻略は良い意味で緊張を強いられ、コアなシューターにとってもそれは大変美味なものであると思うが、ここまでシナリオに緊迫感がないのは問題である。
例えばCrysis 2ほどシリアスでもないし、Borderlandsほどポジティブでもない。この中途半端さが悔やまれる。

キャンペーンの攻略について1つ気になったのは武器のバランスの偏り。
すでに武器の種類の少なさには上で言及したが、さらに踏み込んだ話をすると、サブウェポンでもあるウイングスティックの利便性が高すぎたように思う。
前半に比べて後半からは比較的押せ押せムードの突撃マップが多くなるが、このウイングスティックさえあれば楽勝で切り抜けられるシーンが多かった。
この武器は特に神経質なエイムを必要としないし、材料による作成で所持数に困ることもなかったため、結果的にメインの武器よりも使い勝手が良かったのはどうかと思う。
他のサブウェポンについてはそのようなことはなかった為、とにかくこのブーメランの存在が終始目立ってしまった。
冗談ではなく、この先Rageがブーメランゲームと揶揄されないかと本気で心配しているところだ。

それからもう1つ、エリア間の移動手段以外にもカーレースのクエストが多かったのも印象深い。
メインクエストの内容はお使いそのものだが、そのお使いの手段に用いる車を獲得するためにレースに勝たなくてはならない。
車の操作性は極めて良好でストレスのたまるものではなかったが、こちらはFPSをプレイしたいのにここまで車を運転させられるとは予想外だった。
しかも困ったことにレース部分もきちんと作られていたことから、本作はプレイヤーに運転をさせたいのか銃を撃たせたいのか、その焦点がブレてしまったと思う。
開発側としてはその両方を実現させたかったと思うが、前述したRPG要素と同じく、どっちつかずの中途半端な印象は否めず、掴みどころのない作品となってしまったのは皮肉だ。

私としてはこれだけ優れたデザインのマップをクリエイト出来るのだから、シューターに特化した純粋なFPS作品をリリースすべきだったと思う。
恐らくid Softwareが得意ではないストーリーラインやRPG要素、そしてカーレースなど、あれもこれもと無駄に背伸びをしてしまった結果、Rageは没個性的となってしまった。
そのどれもが洋ゲーとは思えないほど丁寧に作られていた為、最初の触り心地はとても好印象なのだが、しばらくするともやもやした「コレジャナイ」感が芽生えてしまうのだ。


まとめ

Rageは細部に至るまで丁寧に作られたゲームである。言ってみれば失点の少ない優等生タイプのようなものだ。
特に目立つ欠点はないが、逆に突出して秀でた部分も少ないと感じる。
例えばFallout 3がバグやフリーズなどの致命的な欠陥があったにも関わらず、その強烈な個性で悪評をねじ伏せたのに対し、Rageはどこまでも八方美人タイプと言えよう。
FPS自体の出来は悪くないし(むしろ良い)、乗り物を使った移動システムも箱庭タイプのゲームとしてはとても扱いやすい部類だ。
シナリオの進行によって生成できるアイテムや銃のアップグレードなど、RPG要素もモチベーションの持続に貢献する部分であろう。
しかしこのような全てにおいて80点タイプの優等生ゲームがもたらす不満とは一体何か。

それは「飽き」である。
あえて言わせてもらうなら、すでに現行の据置機を数年前からプレイしてきた人間にとって、Rageは高画質な映像以外に目新しさがない。
はじめはこのグラフィックの良さに心を奪われるものの、次第に過去の名作ゲームの寄せ合わせのような印象を持ってしまうのである。
つまり今までどこかで見たような風景で、これもどこかで見たことのある敵を、いつもと変わらない武器を使って遊ぶゲームなのだ。
悲しいことにこれは現実で、Rageにおけるプレイヤーの本当の敵とは、この「飽き」に尽きると言ってもいい。

ゲームとして秀でた部分が大半を占めるだけに、本当に惜しい作品だと痛感する。
せめてあと1年リリースが早ければ、もっと前向きな評価も得られたに違いないだろう。
ゲーム作りというのはリリースのタイミングさえも考慮せねばならず、それほどシビアなものなのだということを改めて実感した次第である。


おわりに

当初、95点は確実と思いながらプレイを続けてみたが、キャンペーンのクリアと同時に少し冷静になれた気がする。
しかし、これまで述べてきたように、良い悪いの比率で言えば圧倒的に良い部分が多いのも事実である。
例えば操作性、マップ、敵AI、それぞれ単体で見ると平均点以上の出来であることは間違いない。
だが、これらを組み合わせた時、何とも言えない微妙な違和感を感じてしまったのがRageである。
素晴らしい素材を使った料理が必ずしも美味しいとは限らない典型的パターンとも言えるだろう。
繰り返すようだが、開発チームのディレクション次第では近年まれにみる名作になれたかもしれない作品なのだ。

だが、もしあなたがFPS好きを自認するなら迷わず本作を手に取って欲しいとも思う。
心配しなくともシューターを満足させる要素はとても多く含まれているし、何よりもこの美しいグラフィックは1度体験しておくべきだろう。

逆にFPSが苦手なプレイヤーには強くお勧めはしない。FPS好きだからこそ許せる部分というのも多々あるからだ。
そういう方には私が付けた88点という点数にしても、ここから10点ぐらい引いた程度の感覚で受け止めて欲しいと思う。
(余談だが、実績解除についても決して美味しいものとは言えないはずだ。)

つまり本作は良くも悪くも、シューターの、シューターによる、シューターのためのゲームと言える。
多少の雑味は残っているものの、それがRageであり、FPSの可能性を広げた作品であることは間違いない。

今回は見当たらなかったサプライズを、id Softwareの次回作では見つけたいと思う。
なぜなら、シューターは常に革新的な発見を求めているのだから。



総合評価:88点





Rage 【CEROレーティング「Z」】



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