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NEODEAD MUSIC BLOG

音楽を思考する

Rocksmith プレビュー

Game Review

はじめに

RocksmithはUbisoftが開発、宣伝を手掛けた本物のギターを使った音楽ゲームソフト。
2011年10月18日にPS3Xbox 360で発売された。また、PC版となるWindows版は2011年12月13日に発売予定である。(発売延期の模様。)

日本版は現時点(12/6)では発売されておらず、今回の記事は北米版(PS3版)をプレイした感想をまとめている。
(気になる日本版の発売日は2012年の春頃との噂だが、この記事を書いている時点ではPS3版のみでの発売らしい。)

ちなみに私は音楽ゲーム、いわゆる音ゲーに関しては素人同然であり、Guitar HeroRock Bandさえプレイした経験がないことをまずはじめに申し上げておく。
つまり音ゲーというジャンルの中で既存作品との明確な比較が出来なかったことはあらかじめご了承願いたい。
その代わりというわけではないのだが、今回はギター経験者から見た率直な感想という視点からお届けしたい。

それから今回はレビューではなくプレビューという形でまとめている。
常に本編をクリアしてからのレビューが私の信条なのだが、今回はいち早くゲームの内容をお知らせしておきたいという目的を優先させた。
(ゲームの構造上、一応のキャンペーンは存在するが、最初から多くの曲をプレイ出来るというのも理由の1つである。)
よって細かいところまで目が行き届いた記事とは言えないのだが、少しでも購入の参考目安になれば幸いである。


最初の準備

本作を遊ぶにあたって、まずは本物のギターがないと何も始まらない。これはアンプと繋げるジャックが付いているものなら何でもOKだ。
つまりエレキギターのみならずエレアコでも一応の使用は可能である。ただ、フレット数の問題もあるのでやはりエレキが望ましいことに変わりはない。
それから世のベーシストの方には冒頭から残念なお知らせとなってしまうのだが、現段階ではギター専用ソフトである。
(噂によるとベースに対応したDLCの存在が囁かれているものの、今はまだ確定情報ではないので言及を避けておく。)

次にゲーム機本体とギターを繋ぐ作業だが、これは専用のUSBケーブルがソフトに同梱されており、その長さも3mほどあるので一般的なリビング環境であれば問題ないと思う。
さらに距離を稼ぎたいなら別途USBケーブルを引っ張って連結すればいいだけの話なので、純正ケーブルに関してはこの長さが妥当ではないかと思う。
要するに本作はこのUSBケーブル同梱版が「通常版」となる。(ケーブルが付属しないパッケージは存在しないということ。)

さて、肝心なのはここからで、ゲーム機本体とモニター(テレビ)との接続についてだが、結論から言うとHDMI接続の場合は高確率で音ズレが発生してしまう。
これはレイテンシーに絡む遅延と呼ばれる現象だが、HDMIの特性上、この音ズレ(場合によっては映像ズレ?)を回避もしくは低減するには以下の方法を取るしかない。

それはHDMIで映像を出力し、音声は別途光オーディオ(もしくは赤白ピン)で別スピーカーから出すという方法である。
もちろん、繋いでいるTVによってはゲームモードなどの遅延軽減対策を施しているものもあり、体感的に遅延を緩和させることは可能だろう。
しかし本製品の説明書にもあるように、よりベターな方法は上記のように映像と音声を切り分ける接続だ。
筆者の場合も映像はHDMIで、音声は光オーディオ端子を使ってサラウンドシステムのスピーカーに繋げてみた。
(この際、映像と音声の出力設定はPS3XMBから設定しておく必要があるので注意して頂きたい。)
これにより音ズレが100パーセントではないものの、大幅に解消されることになった。

これで後はゲームを始めるだけなのだが、その前にここで全くのギター初心者の方のために筆者の独断と偏見による注意事項を簡単に付け加えておきたい。

  • ギター

今回、通常版とは別にエピフォン製のギターがバンドルされたパックも存在するが、もし他でギターを新規購入するのであれば極めて安価なものはぜひとも避けて欲しい。
巷では1万円を切るようなギターも存在しているが、せめて3万円以上、出来れば5万円前後のギターをお勧めしたいところだ。
これは私の持論になってしまうが、ギターに限らず全ての楽器は値段にほぼ比例すると確信している。
もちろん例外もあるかもしれないが、楽器だけは高いものほど良いというのが通例ではないだろうか。
よって、最初に手に取るギターというものは最低限「ちゃんとした」ものでなければ上達はもちろんのこと、そのモチベーションにも影響してしまう恐れがある。

では果たしてどのブランドが良いのかという話になってくるが、これはもう有名メーカー各社から出ているものであれば、見た目で選んでもらっても構わないだろう。
3万〜5万円前後のギターならどのメーカーも特に力を入れている価格帯でもあるし、その際、あえて弾きやすさよりもデザインを気に入って購入した方が長続きするのではないかと思う。
日頃からHR/HM好きな私なら思わずアイバニーズなどを選んでしまうが、フェンダーやエピフォンでも全く問題ないと思うし、むしろそこはこだわって選んで欲しい部分でもある。

それからギターは木製であるためにその扱いに関してはややデリケートな部分もあるが、経年とともに良い具合に乾燥して音が良くなることもある。
つまり何が言いたいのかというと、最初の1本というのはそれだけ長く愛用して欲しいと思うし、だからこそ安価で質の悪い製品は避けて欲しいと願ってやまないのである。

  • 弦とピックとストラップ

弦に関してはダダリオ製、もしくはアーニーボール製を買っておけば特に問題ないだろうと思う。
この際、弦の太さについては好みの問題になってくるが、初めての経験なら太い弦はなるべく避けるべきだ。(とにかく最初は扱いやすい方がいい。)
ピックについても楽器店で形と厚みの違うものを5種類ほど購入して自分の指に馴染むものを確かめた方がいいだろう。
それからストラップはこのゲームをやるにあたって一応あった方がいいレベルのもの。
もちろん床やソファに座ってプレイすることの方が多くなるが、RocksmithならではのLive感を味わうには立って弾くことの出来るストラップも必須だろうと思う。

  • メンテナンス

最後に購入後のメンテナンスの話になるが、指版潤滑剤やポリッシュ(ボディ磨き)があれば安心だ。
特にギターの弦は錆びやすいものなので使用前後に手入れをしてあげると自然に弦の寿命も延ばせるだろう。
保管については購入時に付属していたギターケースに入れておくのが最良だが、頻繁に使うならギタースタンドでもok。
(この場合、インテリアとしても魅力的なオブジェになるのかもしれない。)
メンテナンス自体はやり過ぎることはないので心ゆくまで自分が気に入ったギターを大事にして欲しいと思う。


見た目は音ゲー

さて、いつものように前置きが長くなってしまったが、それでは本題のゲームの話に移る。
まず本作のプレイ画面についてだが、上のScreenshotを見てもらえば分かるように、すでに音ゲーと呼ばれるジャンルをプレイしていた人間からすればとても親しみやすいインターフェイスとなっていた。
具体的には画面奥から手前に向かってアイコンが迫ってくる仕様である。
下に表示されている6色の線はそれぞれギターの弦を表しており、この線に数字(フレット数)がぶつかった瞬間にギターを弾かせる仕組みだ。

これについては、長年楽譜(TAB譜)に親しんできたユーザーからすると、いわゆる音ゲーに準拠した今回のデザインには少々面食らうのではないかと思う。
しかもデフォルトでは6弦が上に表示されており(つまりプレイヤーと鏡の状態)、個人的にはこれが相当な違和感になっていた。
オプション画面で弦の表示を上下逆にすることで簡易的にTAB譜に似たデザインに設定出来るものの、多少の慣れが必要なことには変わりないだろう。

基本的には常にこの画面がプレイ状況を左右していくことになる。
例えば迫ってくるアイコンの形状によってビブラートやチョーキング、ハンマリング&プリングオフを判別させる仕組みである。
欲を言えば横に流れていくTAB譜表示もオプションで備わっていて欲しかったが、いち早くこのデザインに慣れた方が得策だろう。
特にスライド奏法についてはこのデザインならではの表現方法であり、まさに直感的なプレイを想起させるもので感心した次第である。


レベルアップ制システム

本製品はいわばギター「教則」ゲームである。
よってその仕組みも段階的にプレイヤーをレベルアップさせていくシステムを採用している。
もちろん最初から多くの曲を選んでプレイすることも出来るのだが、基本的にはキャンペーンに沿って進行させる流れとなっている。
これは前述した画面表示にもリンクしてくることなのだが、まずはこのRocksmith独特のインターフェイスに慣れないと何をどう弾けばいいのか分からないのである。
つまり序盤はこうした画面表記の理解も含めた長いチュートリアルと思ってもらって差し支えないと思う。

このレベルアップシステムはRSPというポイントを稼ぐことによって行われ、進行するに従って様々なアンロックが用意されている。
例えばアンプシミュレーター機能がその代表格だろう。
ペダルだけでも60種類、アンプも10種類以上と豪華なラインナップだった。
ただ、設定するのにいちいちプリセット画面を呼び出して1つ1つのツマミをいじっていくのはとてもじゃないが実用的とは言えないレベル。
どちらかというと、このエフェクターにはこういう効果がありますよ的なチュートリアルに毛の生えた程度の機能と思ってもらっていい。

次にミニゲーム。(これは後段で言及する。)
加えて称号(ランク)の概念もあり、これによってLive会場のキャパシティもグレードアップしていく。
これは要するにショウビジネスの世界にありがちな「成り上がり」を体感させていく構図にもなっているのだ。

ちなみにこの称号は、New Act、Local Support Act、Local Headlinerと続き、最終的にはRocksmith(ランク11)で一応のゴールとなる。
それぞれにトロフィー及び実績も割り当てられているので、まずはこのキャンペーンを攻略していくことが本作の肝と言えるだろう。


奇妙なミニゲーム

アンロックされていく要素の1つにミニゲームの存在がある。
これはギターをデバイスとした画期的且つ奇妙な作品の集合体のようなもので、発想そのものについてはとても素晴らしいものだった。
果たしてそれが面白いかどうかという疑念は常に頭から離れないのだが、野心的な設計に基づいた内容は一定の評価に値するだろう。

例えばインベーダーゲームで敵を撃ち落すのに任意の弦とポジションを弾かせて弾を出す仕組みなど、まさにこれはギターならではの発想である。
(ただ、タイミング勝負になる野球ゲームなどではギターをデバイスとして活用する限界も見られた。)

本作に絶対に必要なものかと問われると答えに苦しむが、ちょっとしたインターバルには効果的だと思う。
特に本作はプレイ画面以外、つまりメニュー画面などはBGMも流れず、どこか地味で退屈な印象が否めない。
こうした騒がしい8bit風ミニゲームの存在は、学習の合間のおやつの時間のように、一服の清涼剤としては価値あるものだろう。

(繰り返すが、面白いかと言えば決して面白くはないので過度な期待は禁物である。)


不満は収録曲にあり

単刀直入に言ってRocksmithにおける最大の不満点は収録曲のバラエティのなさ。これに尽きるだろう。
デフォルトで57曲も収録されている割には同系統のジャンルが多く、これはとてもバランスが悪いと感じた。
確かにRockにスポットを当てた作品とはいえ、もう少しMetalやJazz、Fusionなども取り入れて欲しかったのが本音である。

そもそもギター「教則」ゲームであるはずなのに、巷でギターヒーローと呼ばれるアーティストを全く収録していないのは甚だ問題だ。
例えばそれはVan HalenAerosmithMr.Bigなど、確かに契約上のライセンスに関わる問題があったとはいえ、どれも未収録なのは余りにも寂しい。
個人的にはMetallicaのOneなどは今の時代でも初心者に最適な教材だと思うし、そもそもDeep PurpleのSmoke On The Waterを収録していないのはどう考えてもおかしいのではないか?
ギター弾きなら誰もが1度は通過する曲をあえてスルーさせたところは当然に賛否が分かれる部分だと思う。

もちろん、発売後のDLCでそういった細かいニーズに応える算段が開発側にあったのかもしれないが、本編discに収録してこその「作品」である。
これは全てのゲームにも言えることだが、結局のところDLCはおまけ要素に過ぎないのであって、あくまでもメインは本編discであるべきなのだ。
詰まるところ、本編の中身でそのゲーム全てを語るべきであって、昨今のDLCに頼った製作姿勢というものはもっと批判されて然るべきだと私は思う。

確かに音ゲーと呼ばれるジャンルはDLCの乱発が激しいことでも知られているし、一見するとユーザーのニーズに応えてくれているようにも見える。
しかし今回のRocksmithは厳密に言うと音ゲーではない。
あくまでも楽器上達のための教則ゲーである。
デフォルトで50曲以上も収録曲があるわりには、弾いていて楽しいと思える曲が個人的に少なかったことは率直な感想として残しておきたい。

(ただ、この点は個人の音楽嗜好によるところが大きいので、あくまでも筆者の主観的印象としてご理解頂きたい。)


Rocksmithの未来

さて、Rocksmithの存在意義、これはやはり本物の楽器を使った教則ゲームということに尽きるだろう。
今回はギターにフォーカスした内容となっているが、今後様々な楽器に派生していくことは容易に想像出来る。
そこにマルチプレイの環境が整えば世界中の見知らぬユーザーと簡単にセッションを楽しむことさえ可能になってくるかもしれない。

こうした未来性、つまり将来性とも言うべき無限の可能性を秘めた作品であることは間違いない。
収録曲の内容や長いローディング、そして珍妙なミニゲームの存在など、不満点はやや散見されるものの、新機軸のフランチャイズとしては成功の部類に属するのではないだろうか。

特にギターを初めて手に取るユーザーにとって、楽譜やビデオ以外の教則ツールがゲームとして登場したアドバンテージはとても大きいものがある。
もちろん、過去にFのコードでつまづいてしまった方にとっても心機一転して取り組める内容に仕上がっているのは流石だ。

このRocksmithによってギター人口が増えることは開発を手掛けたUbisoftの本当の目論見でもあると思うし、まずはこうして製品化まで辿り着けた功績を今は称えたいと思う。
記念すべきファーストタイトルとはいえ、それまでの「遊ぶ」という音ゲーの概念から、「学ぶ」という方向に上手くシフト出来た事はもっと評価されて然るべきだ。

今後のUbisoftの動向には(DLC展開も含めて)少なからず注目する必要があるだろう。
なぜなら本作のポテンシャルをこのまま維持していけるかどうかはデベロッパー次第でもあるからだ。

個人的には、このRocksmithによって1人でも多くの人がギターに興味を持ってくれることを切に願う。
音楽好きならばこの切り開かれた未来をぜひとも体験して欲しいと思うし、そこでRocksmithの限界も味わって頂きたい。
新機軸の作品というものは、そこに賛否が渦巻くことによって磨かれるものだと私は認識している。

結局のところ、Rocksmithはパーフェクトではない。
しかし、音ゲーの未来を提示した作品として、見過ごすことの出来ない作品であろう。





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