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NEODEAD MUSIC BLOG

音楽を思考する

Halo 4 レビュー

Game Review

はじめに

Halo 4Bungie社からシリーズを引き継いだ343 Industries社が初めて本編を手掛けたFPS作品。
343 Industries社はこれまでHalo Waypoint(Halo全般に関わるオンラインサービス)、Halo Reach(セカンドマップパック)、Halo: Combat Evolved Anniversary(Halo 1のリメイク作品)を開発、古参ユーザーからも概ね好評を得てきたデベロッパーだ。
これはBungie社から多数の人材が343 Industries社に流れていった影響も少なからずあるだろう。
また、これまでHaloの音楽を支えてきたMartin O'Dnnell氏は本作に関わっておらず、今回からMassive Attackのプロデュースなどを手掛けてきたUK出身のNeil Davidge氏にバトンがタッチされた。(この点は本作を語る上でも重要なトピックであり、詳細は後述する。)
このように開発元は別会社に完全移管したものの、発売元は当初からMicrosoft社で変わりはない。

2012年11月8日に全編日本語吹替のフルローカライズとして国内発売され、通常版と限定版に加えてオリジナルデザインのXbox 360本体同梱版(限定)もリリースされた。
ちなみに通常版の定価は7,410円。CEROレーティングはD(17歳以上対象)である。

以前に私が書いたHalo: Combat Evolved Anniversaryのレビューをご覧頂ければお分かりだと思うが、個人的に思い入れのあるシリーズである。
特にシリーズ本編の正当なる続編ということを考えれば、前作から約5年も待たされていた計算となるため(Halo 3は2007年9月27日発売)、私を含めた大勢のファンにとっての期待値はかつてないほど上昇し、そして熱気さえ帯びていたタイトルであったことはあえて今言及するまでもないだろう。
私も発売日に購入し、まずは駆け足でキャンペーンをクリアしてみたのだが、エモーショナルなシナリオとは裏腹に各チャプターにおけるシークエンスの流れや数々の新要素については多少の疑問を抱いてしまう結果となった。
確かにシリーズの新章としてはセールス的にも幸先の良いスタートを切ったのかもしれないが、古参ファンなりにいくつか気付いた点をまとめておきたい。
以下、いつものようにひねくれた主観的感想に最後までお付き合い頂ければ幸いである。
(今回はキャンペーンの話題を中心に、Haloシリーズにおける本作の在り方について考察する。)


シリーズ史上、最高品質のグラフィック

ゲームは見た目が命、とは言い過ぎかもしれないが、少なくとも現行据置機の作品群においてグラフィックの向上はデベロッパーに課せられた1つの命題だ。
もちろん外見だけが良くても肝心の中身が伴わなければ、実社会の男女関係にあるように、全体の歯車は上手く噛み合っていかない。
デベロッパーの中にはグラフィックのクオリティアップだけに注力して薄っぺらな内容を誤魔化そうとする向きもあるが、そういった作品は自然に淘汰されるべきものであるし、プレイヤーの記憶に深く刻み込まれるものには決してならない。それは世の常だ。
要はバランスが重要であり、開発チーム全体を客観視出来るディレクターやプロデューサーの手腕が問われる部分でもある。

Haloに関して言えば、当初から壮大なSF作品として登場してきた経緯がある。
加えて主観視点、いわゆるFPSというジャンルを家庭用ゲーム機においてその普及に多大な貢献を果たしてきたシリーズだ。
このシリーズは初代Xboxからスタートし、そして次世代機と呼ばれた現行機Xbox 360に移行してからもそのグラフィックは毎回ブラッシュアップされてきた。
特にBungie社にとって最後の作品となったHalo Reachはシリーズ最高峰とも言える品質であり、細部まで描き込まれた美しいグラフィックは、新旧問わず幅広いプレイヤーに好印象を与えたことは記憶にも新しい。

このBungie社からバトンを受け取った343 Industries社のグラフィックに対するこだわりは、すでにHalo 1のリメイク作品Halo: Combat Evolved Anniversaryにおいても実証されている。
しかし今回は過去に存在していたデザインをリメイクするのではなく、Halo 4として完全オリジナルなデザインであるということ。
つまりデベロッパーの真価が問われる最初の局面とも言えるが、結論から申し上げて、本作のグラフィックはシリーズ史上、最高品質であったと今ここで断言しよう。
もちろん、人によってはHalo Reachと同等ではないか、という声もあるだろう。
この点については誤解を生む恐れがあるのであえて言い換えるが、グラフィックの質感、これがシリーズ随一の出来なのである。

細かい技術的な内容は専門家の判断に委ねるとして、私が思うに今回は特に光源処理が素晴らしい出来栄えと言えるのではないだろうか。
冒頭のムービーからすでにその片鱗を見せつけてくれるのだが、SF作品という名前に恥じないこの艶やかな光の質感は、Xbox 360のポテンシャルを最大限に引き出した開発者の努力の賜物であろう。
また、全体の色合いも瞳に優しい落ち着いた配色であり、特に緑豊かなジャングルの描画表現はシリーズが最新版であることをおのずと実感させてくれた。
これまで見慣れた宇宙船内の描写も火花や塵といった美しいエフェクト効果の恩恵もあり、新鮮な気持ちでプレイ出来たことは言うまでもない。

すでにXbox 360ではRageやCrysis 2といった高精細なグラフィックを実装した作品も数多く見られるが、今回のHalo 4も負けず劣らずといった印象。(特にエンディングにおけるムービーは実写との境界線が判別出来ないほどのクオリティだった。)
加えて流線形を多用した独特なデザインの建造物は本作でも健在であり、特に序盤で目にする巨大建造物群の描写には思わずため息が漏れたぐらいだ。
このシリーズには昔から壮大という言葉がよく使われるが、それを分かりやすく端的に表現しているのはやはりグラフィックなのである。
例えばそれは宇宙空間の奥行きの広さであったり、地上から見上げる空の高さ、もしくは巨大建造物から見下ろす地平線など、世のSF好きを唸らせる描写がてんこ盛りなのだ。
発売前はこうしたHalo独特の世界観がきちんと演出されるのかどうか、この点がとても不安だったが、開始15分でそれも杞憂に終わった。
シリーズのコンセプトを忠実に守りながら、尚且つそこに素晴らしい光源処理とエフェクト効果を施した結果、高品質なSF作品というポジションを改めて内外に示した格好だ。
奇をてらうのではなく、地道にグラフィックの質感を向上させた開発陣にまずは拍手を送りたい。


リアリティの追求

HaloシリーズはCoDやBFといったリアル系戦争FPS作品群に比べて、どちらかというとサイエンス・フィクション系スポーツ志向型のFPSである。
これはマルチプレイに代表される特色でもあるが、これまではシステムや世界観に注力するあまり、現実の戦闘に実在するリアリティについては若干希薄であったことは否めない。
むしろそこがHaloの味でもあり、熱心なファンからすれば愛すべき部分でもあっただろう。

しかし、今回のHalo 4はついにリアル志向へと大きく舵を切った。
その象徴的なトピックとして上のScreenShotがそれを物語っているのだが、古参ファンは驚くことなかれ、この半裸の女性はコルタナである。
初登場時のHalo 1ではまるでゴリラかトカゲかと見間違えるかのような彼女だったが、シリーズを重ねるにつれてその美貌には磨きがかかり、本作ではついに人間以上に肉感的且つ官能的な存在となっていた。
そもそも彼女は人工的に造られたAIという役柄を考えると、こうした人間的外見への歩み寄りはファンの間でも当然に賛否が分かれてしまう部分だと思う。
つまり、機械らしくないではないか、と。
しかしながら本作のシナリオを考えた時、キャンペーンクリア後には誰もがこうした変貌も必然だったと納得することになるだろう。
シナリオの詳細については後述するが、リアリティの追求という本作を象徴するトピックとしてこのコルタナの存在はとても分かりやすい。

とりわけ戦闘についても同じことが言える。
マシンガンやライフルなど、いわゆる銃器の発砲音や振動は過去作以上に重量感を感じさせるものとなっており、それはまるでCoDやBFのような手触りとなっていたことには正直言って私も驚いた。
確かにHalo 2の頃のようなペナペナなサブマシンガンなど今の時代には笑止千万だが、ここまでリアル系FPSへとブラッシュアップされるとは誰が予想しただろうか。
しかしこの方向性は決して間違いではなく、むしろ今のシューター好きには大歓迎される要素でもある。

そもそも対エイリアンというHaloの戦闘シークエンスで、これまで唯一足りなかったものは、一発一発の弾の重みだったと言ってもいい。
いわゆるトリガーハッピー思想に基づいた弾バラまき戦法はHaloが本家本元だと思うが、リアル系FPSというジャンルが世界的に台頭してきた現在、こうした路線変更はある意味で必然だったと言えるのではないだろうか。
もちろん伝統を重んじ、あえてオールドスクールな品質を保持し続けるのも1つの考えだが、それが時代の流れに逆行するものであるならば改善は早い方がいい。
343 Industries社がこれまでの負の遺産に固執することなく、今の時代の空気をいち早く読んだことは一定の評価に値するだろう。

とはいえ、こうしたリアリティの追求は当然に歓迎されて然るべきものだと思うが、細かいところで不満もある。
シューター作品だけに、その不満は戦闘シーンに集約してしまうのだが、特にグレネードの弱体化とマガジン容量の削減にはあえて苦言を呈したい。

まず、グレネードの弱体化についてだが、初代Haloの頃から敵の殲滅手段において、グレネードの果たす役割は非常に大きいものがあった。
敵が集団で固まっているところに単身で突撃し、前方に弾をバラまきながらグレネードを最後にお見舞いする、このパターンはもはや定番中の定番だ。
グラントなどコヴナントの連中が断末魔をあげながら四方八方に吹っ飛んでいく様子はゲームのカタルシスに大きく貢献するものだった。
今回のグレネード弱体化は、このような定番の戦闘方法が半ば否定されたと言ってもいい。
敵に吸着するプラズマグレネードは健在だが、どちらにしてもその威力は大幅に弱体化されているため、単身での突撃が非常に難しくなっていた。
Haloのコントローラー設定(デフォルト)において、何故LTにグレネードが割り当てられてきたのか、開発はその意味を本当に熟知していたのかどうか、怪しいところだ。

また、マガジン容量の削減によって弾切れが頻発、常に武器を拾いながらの戦闘はテンポを阻害する要因にもなった。
自身のシールドが無力化され、生きるか死ぬかの危機的状況において、頼みのグレネードも使えず、さらに弾切れによって武器を探すのに右往左往。
こんなことは今までのシリーズでもあまり経験したことがない状況である。
確かに戦場のリアリティは増しただろう。
例えば一発の重みを実感出来るライフルを扱う楽しみは格段に増えたのかもしれない。
しかし本来の一騎当千のカタルシスがこのように意図的に削られてしまっていたことはHaloのこれまでの戦闘それ自体を否定しかねない。

少なくともキャンペーンにおいて、恐らく開発陣はCoopを想定したバランスに寄り添いすぎているのではないだろうか。
今回もHalo 3Halo Reach同様、オンラインで4人までCoopに参加出来る仕組みだが、Halo 1のソロキャンペーンが至高と考える私のような人間にとってはあまりにも残念な仕様だ。
過去にも言及したことだが、マスターチーフという主人公が他の兵士と違い、孤高の存在であるためには、常に一騎当千であることが望ましい。
リアリティへの追求は、そのほとんどは歓迎すべき事態ではあるものの、戦闘におけるカタルシスをここまでないがしろにして欲しくはなかった。
せめてソロプレイ時のみ、持てる弾薬を増やすなど相応の配慮があっても良かったのではないだろうか。


微妙な新要素

まず、今回のマップデザインについては、全体的にキープコンセプトな造形が散見され、これまでの世界観を保持するのに一役買っていた。
先述したように艶やかな光源処理のおかげもあり、特に室内マップの美しさは過去最高レベルだ。
ファンにはお馴染み、ワートホグなどの各種定番の乗り物も序盤から登場し、操作性など基幹部分についても特に変更はなし。
このあたりはファンの期待を裏切らない仕様と言えるだろう。

とは言っても、デザイン的には少々新鮮味に欠けていたのは事実であり、今まで登場したこともない新たな惑星、レクイエムという舞台設定を存分に生かしきれていなかったことには悔いが残る。
確かにフォアランナーの惑星という設定はデザイン的にも制約が生まれる事案だとは思うが、大胆なマップデザインを密かに期待していた分、多少の肩透かし感は否めない。
また、縦軸横軸の戦闘に加えて高さの概念が多く取り入れられていたことは操作及び視点移動を若干煩雑にした。
これは新しく登場した敵の存在にも起因することだが、これまで平面戦闘が多かったシリーズにおいて、上空や後方にも常に注意をしなければいけない状況は場合によってはストレスに感じてしまったのだ。

特にプロメシアンナイトと呼ばれる新たに登場した人型の敵は、戦闘中でも果敢にワープを多用し、プレイヤーにとっては非常に厄介な存在だった。
加えてプロメシアンウォッチャーというダメージ回復役の飛行体もセットで登場するため、常に上空にも気を配る必要があり、こうした頻繁な視点移動は過去最高レベルだったと言ってもいい。
特徴的なのは、彼らはこれまでのコヴナント軍と違い、全身を硬い装甲に覆われているため闇雲に弾をバラまいても瀕死のダメージさえ与えることが出来ず、戦略としては弱点である頭などを狙うしかない。
このヘッドショットを推奨、もしくは無闇に強要する思想は旧来のトリガーハッピー思想とは似て非なるものである。
このような状況では初期武器のマシンガンでは到底太刀打ちが出来ず、自然にライフル系の武器に手が伸びてしまうの当然だろう。
だがしかし、上で述べてきたように全ての銃器においてマガジン容量が削減されているわけで、無駄撃ちが多ければ容赦なく弾切れが頻発し、武器や弾薬を求めて戦場をウロウロしてしまうことも少なくなかった。
元々メカ的な外見の敵は銃弾が肉体にのめり込んでいくような、いわゆるGears of Warのように血沸き肉躍るような戦闘は期待出来ないし、せっかくのリアリティ重視の方向性もこの新しい敵の存在では今ひとつ真価を発揮出来ていなかったと言わざるを得ない。
プロメシアン系の敵を倒した時の、眩しい光とともに消失する演出は確かに綺麗だが、それだけでは十分なカタルシスを得ることは出来なかった。

キャンペーンの後半にかけては、こうしたプロメシアン系の敵ばかりが目立ち、エリートなどコヴナント軍はサポートとして脇役に徹していたのも物足りなかった部分だ。
さらに突っ込んだ話をするならば、敵AIはそこまで狡猾な仕様ではなく、どちらかというと守りに徹している雰囲気さえ感じたのは気のせいだろうか。
確かに集団の中に単騎駆けでもしようものなら途端に蜂の巣にされてしまうのだが、一旦距離を取れば攻め込まれる心配もない。
この点についてはお世辞に言っても過去のキャンペーンと同等レベルのものであって、こうした敵AIにあまり進化を感じることが出来なかったのは最新作ということを考慮すると少々寂しい。
いまだにプラズマグレネードを両手に持ってカミカゼアタックを仕掛けてくるグラントを見れば、何故君達は成長しないのかと失笑を買ってしまうほどである。

他の新要素としては、Halo Reachのマルチプレイでも実装されていた各種アーマーアビリティの存在があった。
ジェットパックやホログラムなどお馴染みのものに加え、プロメシアンビジョンやオートセントリーなど今回初登場となる目新しいアビリティも確認出来た。
しかし、これがキャンペーンにおいて必要不可欠のアイテムだったのかと問われれば、必ずしもそうではない。
ジェットパックについてはそれを使用しなければスムーズに進行出来ないミッションなどもあり、そこは十分に必要性を感じさせてくれたのだが、その他のアビリティについては基本的に使わなくても問題ないレベル。
あくまでも戦闘における自由度の高さを狙った補助的ツールと解釈するのが無難だろう。

それでなくとも、今回から初めてダッシュが実装され、フレキシブルに戦場を動き回れるようになったことで、操作はさらに直観的になりスピード感も出た。
そこに加えて各種アーマーアビリティを局面に応じて効果的に活用出来るかと言われると、さすがに慣れていないプレイヤーにとっては無理難題に等しい。
それよりも弾切れの方に注意しなければならないし、上空や後方にも気を配って一刻も早く目前の敵を殲滅しなければならない。
元々私はHalo Reachのマルチプレイにおいてもこうしたアーマーアビリティは必要ないのではないかと感じていた人間だ。
特にジェットパックについては今でもその効果に眉をひそめてしまうほど、必要性を感じないアビリティの代表格である。
これまでの縦軸横軸の均衡の取れた平面戦闘のマップに、高さの概念が持ち込まれ、戦略を無駄に複雑化させてしまった戦犯とも言えるものだ。
今回、キャンペーンにおいてこうしたアビリティの実装全てが批判されることはないが、プレイヤーにとって必然性を感じにくいものが多かったことは確かだ。
Haloは昔からシンプルさが魅力だったはず。
洗練を突き詰めれば簡潔になる、という言葉があるように、今一度原点に立ち返ったシステムに刷新されることを願う。


ワンパターンなシークエンス

マップデザインの話に少し戻るが、シンメトリーで美しい造形はこれまでのファンの期待を裏切らないもので、その美麗なグラフィックのおかげもあって今回は本当に素晴らしく感じた。
しかし、そこから派生する各チャプターにおけるシークエンスの数々はお世辞にも良く出来ているとは言い難い内容だったのも事実だ。

例えばあるチャプターでは1つの目標が設定された時、それを遂行するには2つの障害をクリアしなければならないとコルタナに言われる。
マスターチーフはセオリー通りに指示されたマーカーに従って1つ目の障害をまずはクリアする。
そして、促されるままに1つ目とほとんど同じマップで2つ目の障害をクリアしていく。
そこでようやくコルタナが指示する目的地へと向かうことが可能となる。

この一連のシークエンスの中で、どこか作業感が漂ってしまうのは如何なものか。
これはシンメトリーなマップデザインも少なからず影響していることだろう。
しかし、その左右対称な美点を生かしながら、例えば2つ目のマップでは建造物の崩壊や敵戦艦の落下といったハプニングを発生させるなど、開発側はいくらでも工夫が出来たはずなのだ。
今回、そのような作業感を感じさせるチャプターが数多く存在していたことがとても気になった。
実際にプレイしていない人にしてみれば私が何を言いたいのかよく分からないかもしれないが、要するに次に何をするか、という目標は当然あっていい。
しかし、その次の目標までわざわざ提示するというのはあまり得策とは思えない。
プレイヤーにしてみれば、また同じようなマップで、同じような敵がいて、同じようなボタンを押したらここはクリアなんだろう?と容易に推測出来てしまうからである。
それを果たして濃密で魅力的なシークエンスと呼べるだろうか?
簡単に先が読めてしまうキャンペーンよりも、良い意味でプレイヤーを裏切っていくキャンペーンの方が楽しくて当然である。
ただでさえボリュームの少ない今回のキャンペーンの中で、予断を許さない展開というのはもっとあっても良かったはずだ。

例えばTransformers: Fall of Cybertronという今年リリースされたシューター作品は、各チャプターごとに素晴らしいシークエンスが用意されており、最後まで予想のつかない緊張感のあるキャンペーンを実現していた。
間違いなく今年のGame of the Year候補の1つだと私は信じて疑わないが、今回のHalo 4の場合、グラフィックの良さだけが1人歩きしてしまった印象も否めない。
個人的にはHalo 1の序盤に登場した箱庭マップのような自由度の高い展開なども期待していたのだが、基本は一本道で寄り道さえ不可能という点も惜しい。
Transformers: Fall of Cybertronのように、プレイ中もリアルタイムに物語が進行していくような、ハリウッド映画的なキャンペーンを味わいたかったというのが本音である。


壮大なミリタリーSFからパーソナルなSFドラマへ

これまでのHaloシリーズは良くも悪くもミリタリーSFゲームの代表的作品であり、人類vs地球外生命体という武力衝突に焦点を当ててきた。
Halo 4という新たな船出となった今回、ミリタリーSFとしての立ち位置はそのままに、よりパーソナルで人間ドラマ的なシナリオへと変化していたことは、本作を象徴するトピックだ。
この記事の冒頭でも言及したが、コルタナがなぜ人間に近い風貌を伴って登場してきたのか。
それはただグラフィックにおけるリアリティを追求した結果だけではなく、このシナリオだからこその必然性があったのだ。
もし貴方が古参ファンを自認するならば、今回のエンディングを迎えた時、思わず目頭が熱くなってしまうことは避けられないだろう。
それほど深遠で魅力的なシナリオになっていたことは今ここではっきりと申し上げておきたい。

マスターチーフとコルタナは当初からコンビを組む、いわば戦友だ。
そこには数々の紆余曲折があり、シリーズを重ねるごとにお互いの信頼を高めてきた。
今回、コルタナは人工AIとしての寿命により、時に暴走し、それをマスターチーフが宥めるという、見慣れない光景が繰り返される。
これまで寡黙だったマスターチーフの立ち振る舞いからすれば、一体どのような心境の変化があったというのだろうか。
それを推測するのもファンの楽しみの1つだが、本作の根底にあるテーマを分かりやすく言えば、機械と人間の共生にある。

元々マスターチーフは少年の頃に拉致され、周囲からマッドサイエンティストと呼ばれるハルゼイ博士のスパルタン計画によって造られた兵士であり、一般的に分かりやすく言えばサイボーグに近いイメージである。
中身はもちろん人間なのだが、実験段階における過度な肉体への改造によって人間性の欠落など精神に何らかの支障をきたしている可能性もこれまで囁かれてきた。
そのせいか、これまでのシリーズでも、マスターチーフは要点しか喋らず、上官の命令にも常に忠実であり、いわばロボットのように機械的で無機質な存在だった。
しかし、今回は毛色が全く違う。
コルタナとのやり取りでは多くを喋るし(驚いたことに励ましの言葉も口にする)、自分の意思にそぐわない上官の命令には決して従わないという珍しいハプニングも訪れる。
およそ無口で冷酷だった兵士が本来持ち合わせていた人間性を取り戻しつつあるような、そんなマスターチーフをこの目で見るのは初めての経験だった。

対してコルタナは先述したように内面も外見も人間としての女性らしさが加速しており、その言動からも分かるように、マスターチーフに戦友以上の好意を抱いているということは本作でさらに明らかとなる。
人工AIという機械的存在が、有機的存在である人間に恋をする?
SF映画の世界ではすでに使い古された題材かもしれないが、まさかそういったシナリオをHalo 4で味わうことになるとは予想外なことであったし、幸いにも最後まで話が破綻することはなく、理路整然と語られたことはSF好きの私にとっても大変大きな収穫だった。

コルタナもマスターチーフも、共通しているのは人間性の復権にある。
そこに焦点を当てた本作は、シリーズ本編の続編という意味合いからすると、確かに外伝のような雰囲気が漂う。
これまでにあったような、硬派なミリタリーSFを期待していると、今回のマスターチーフとコルタナのやり取りはまるで痴話ゲンカのように退屈に聞こえてしまうかもしれない。
だがあえて私はこのパーソナルで思慮深い今回のシナリオには文句なしの太鼓判を押したい気持ちでいっぱいだ。
これまでずっとシリーズを追いかけてきて、本当に良かったと思わせる今回の結末は、ぜひ多くの人に味わってもらいたい。
この作品のおかげでさらにマスターチーフが魅力的な存在となっていくことを今ここでお約束したいと思う。


誰も得をしなかった声優変更

シナリオの話が出たついでに、ローカライズの感想も残しておきたい。
今回、発売前に大きな話題となったのが、日本語版におけるマスターチーフとコルタナの声優変更問題だ。
マスターチーフはこれまでずっと谷昌樹氏が務め、コルタナは小池亜希子氏が担当してきた。
ところが本作で突然この2名が降板、それぞれを小山力也氏と藤村歩氏に交代することとなった。

これについてローカライズ担当者はHalo 4という新章スタートにふさわしいキャスティングと胸を張っていたが、果たしてキャンペーンをクリアした今、この交代劇が成功していたかと言われると必ずしも私はそうは思わない。
マスターチーフは元々寡黙な主人公であり、機械的で無機質な兵士という役柄上、谷昌樹氏の感情を押し殺した吹替はこれまでずっと違和感なく聞こえていた。
言葉数は少ないながらも、各作品における名台詞は今でもファンの記憶に残っているはずだ。

ところが今回のマスターチーフはこれまでよりもずっと人間味あふれる存在である。
先ほどから述べてきたように、コルタナとのやり取りはシリーズの中で最も多い。
いつもとは違う、そして新たな物語の始まり、という意味合いからすれば確かに声優変更には絶好のタイミングだったのかもしれない。
それを証明するかのように、交代した小山力也氏、藤村歩氏それぞれの吹替は素晴らしく、特にマスターチーフの絞り出すように言葉を選ぶあたりはとても印象的だった。
ただ、ファンとしてはやはりこうした内面の葛藤からくる言葉の微妙なニュアンスを、昔からの谷昌樹氏の吹替で味わいたかったというのが本音であろう。

ゲームは映画と違い、吹替が最重要視されるエンターテインメントである。
ゲームに登場するキャラクターは映画俳優と違って演技をしているわけではない。
アニメと同じく、吹替を担当する声優の力量に作品の価値が左右されることは、ここアキバ大国日本では誰もが知っていることだ。

この声優交代劇に絡む諸般の問題は本当に残念の一言に尽きる。
その後のMSKKの対応然り、署名運動なるもの然り、不買運動然り。
結局今回の騒動で一体誰が得をしたというのだろうか。
もしもそこに政治的、金銭的な意図があっての交代劇であれば仕方のないことだが、経過を観察するにその可能性も低いように思う。
何と言ってもこれまで10年以上に渡って続いてきた人気シリーズの主役の問題である。
ローカライズ担当者にはもう少し、あと少しの慎重さやファンに対する配慮があっても良かったのではないか。
ソーシャルネットワークが全盛の今、事前にファンの声を拾うことはとてもたやすいことだ。
キャスティングの変更という重大決定の前に、市場のリサーチをもっとしっかりと行うべきだったと、私は率直に思う。
(新キャストの小山氏と藤村氏の仕事ぶりそのものはさすがプロと言える水準のものであったこと、これは重ねて申し上げておきたい。)


テーマ曲の喪失

今回、声優変更以上に許せななかったことが1つだけある。
それはHaloのテーマ曲が流れなかったことだ。
細かく言えば、1度だけ、ほんの数秒だけあのテーマ曲が遠くで聴こえるシーンがあったのだが、キャンペーン中はほぼ皆無と言って語弊はない。
なぜあの音楽を使用しなかったのか、私なりに思いを巡らせてみるのだが、今もって分からない。はっきり言って謎だ。

もしかしてHaloリングが舞台ではないから?
それとも新章として過去作からの脱却を狙ったから?

どちらにせよ、シリーズを影でずっと支えてきたのはMartin O'Dnnell氏のあの壮大で荘厳な素晴らしいテーマ曲だ。
これをないがしろにして今もこれからもHaloは語れないはず。
想像してみて欲しい、例えばインディジョーンズの新作でお馴染みのテーマ曲が流れないことを。
これは古くからのファンにとって、本作ににおける最大の悲劇的事件と言ってもいい。

ゲーム作品を支える基本的な3大柱というのはグラフィックと音楽、そして操作性にある。
最低限、この3つの要素が水準以上のクオリティであれば、第一印象が不評になることはまずない。
システムや難易度、シナリオの中身などはそういった第一印象の後から訪れるものであって、まずは手触りの良さを実感出来るかどうかが重要だ。

中でも音楽は作品全体のイメージを決定付ける上で、極めて重要な要素であることはエンターテインメント業界においても定説である。
Haloにはせっかく素晴らしいスコアが存在するのにそれをあえて使わなかった理由とは一体何なのだろうか?
一部ではBungie社が楽曲の著作権を持っているために、つまりライセンス上の問題で使用出来なかったのではという声もあるが、そうだとすれば今後の作品であのテーマ曲を聴くことは出来ないということだろうか?
それはあまりにも、あまりにも寂しいことだ。

本作で音楽を担当したNeil Davidge氏については、時折挟み込まれるエレクトリックなサウンドでシリーズに新風を吹き込んだことは間違いない。
ただ、映画的なサントラを意識し過ぎたせいか、クラシカルな雰囲気の楽曲ではほとんど印象に残らないものばかりだった。
本作のシナリオは確かにドラマティックな展開を内包し、カットシーンにおいてもシネマティックな演出が増えたわけだが、肝心の音楽が脇役に徹し過ぎていたせいで、盛り上がりに欠けていたことはとても残念に思う。
あえてメロディが主張し過ぎないように意図的に計算されたようにも感じたのだが、Halo 2におけるテーマ曲のSteve Vaiリミックスなどを通過してきた私にとって、Neil Davidge氏の今回の仕事ぶりはおよそ中途半端にしか見えなかった。

ファンはシリーズ本編を、Halo 4を、5年も待たされていたのだ。
それはあまりにも長い年月であり、新たなトリロジーの幕開けに誰もが期待していたのが本作なのだ。
ただでさえ、今回のチャプターはワンパターンな内容が多く、新しい敵キャラ、新しい武器などもいまいち魅力に欠けるものだった故に、音楽が果たす役割はとても大きいものがあった。
あのテーマ曲がNeil Davidge氏によってアレンジされ、効果的に使われることによってそういったネガティブな評価を強引にねじ伏せることも可能だったはずだ。
音楽を生業としていた私からすれば、今回のBGM軽視の流れは到底理解出来ないことでもあるし、100点満点の点数で言えば10点ほどマイナスになるほどのダメージである。
これはシリーズ史上、最も退屈な音楽に彩られたキャンペーンだったと言わざるを得ない。
たとえこれが343 Industries社の狙いであったとしても、シリーズの伝統、そして連続性という意味を彼らはもう1度考え直して欲しいと思う。


刷新されたマルチプレイと新搭載のスパルタンオプス

Haloのマルチプレイは数あるシューター作品の中でも中毒性が高いことで知られている。
システムその他基幹部分のゲーム性はすでにHalo 3において完成しており、本作においても大幅な路線変更というのはあまり見当たらなかった。
むしろルールやマッチングのUIが刷新され、CoDようなカスタムクラスの作成及びそれに伴うアンロックシステムなどが搭載されたことは、大変喜ばしいことでもある。(アンロック制はレベル依存の批判を受けやすいシステムだが、本作のマルチプレイは低レベルでも十分に戦っていけるバランスに仕上がっているので安心して欲しい。)
これにより、直近のHalo作品(Halo Reach)よりも扱いやすく、より遊びやすいマルチプレイに生まれ変わっていたことは本作のサプライズの1つでもある。

肝心のマップデザインについてもシリーズ直系の近未来的なデザインに彩られており、シンメトリーな巨大建造物も健在。
個人的にはBT Infinity スレイヤーのマップは大人数で遊ぶのに最適なデザインを採用しており、ゴーストなどの乗り物を駆使した16人のオンライン対戦はとてもやりがいのあるもので、私自身まるで麻薬のようにやめ時が見つからなかった。
また、DominionというルールではBFBCのコンクエスト、もしくはBF1943のような奥の深い大規模戦闘を実現しており、今回の中でも一際輝きを放っていた。(ちなみに今回のマルチプレイについてはCertain Affinity社というほぼ無名のデベロッパーが開発を担当したとの噂。)

スポーツ志向のゲーム性も相変わらずで、シリーズ初心者はこのスピード感への対応に最初は戸惑うかもしれないが、次第にこの独特なマルチプレイの雰囲気に魅了されていくことだろう。(Haloにおける対戦の基本は「読み合い」が中心にあり、「間合い」を重視するCoDなどのリアル系FPSとは一線を画すタイプである。)
キャンペーンでは積極的に新機軸を打ち出すなど、ともすれば自己主張の強かった343 Industries社だが、さすがにマルチプレイに関してはこれまでの伝統を重んじた様子。
従って、シリーズのファンはもちろんだが、CoDなどのリアル系FPSが好きな方でも安心して遊ぶことが出来ると思う。

また、新搭載のスパルタンオプスはチャプターごとに敵を殲滅していくモードで、ソロ、マルチどちらにも対応しているのが好印象だった。
惜しくもファイアファイトは今回削られてしまっていたが、その代わりに搭載された本モードは、その遊びやすさ、手触りの良さから考えてもこちらの方が品質は上。
少し短いと思わせるぐらいの構成はダラダラとWaveが続くファイアファイトよりもずっとメリハリがあって良いと思う。
敵AIの動きもキャンペーンより遥かに狡猾且つ大胆なもので、人によっては本編を周回するよりもスパルタンオプスで遊ぶ回数の方が増えるのではないか、という予感がしている。
これはHalo本来のミリタリーSF的雰囲気のシナリオがこのモードに用意されていたことにも起因する。
あくまでもおまけ的要素とはいえ、それほど丁寧に作られた内容だったと言えるだろう。
(今後、定期的にミッションを配信していくというデベロッパーのメッセージも有り難い。)

そのほか、シアターやフォージなどお馴染みのモードも引き続き搭載されており、一見してファンの期待を裏切らないマルチプレイになっている。
時期的に他の大型FPSタイトルと重なってしまっているのが惜しいが、週末ともなればかなりの賑わいを見せているので、当面は過疎の心配もいらないだろう。
例えばCoDなどは作品によってマルチプレイの完成度にバラつきが散見されるが、Haloシリーズは一貫して高品質なオンライン対戦を実現してきた。
今回はデベロッパーの移管という、ある種ネガティブな不安材料を当の343 Industries社(とCertain Affinity社)が痛快に蹴散らした格好だ。
キャンペーンにおいては各所で不満が噴出したものの、このマルチプレイに関しては、たとえ控え目に申し上げたとしても、素晴らしい出来栄えということで間違いはない。
これが本当の意味でのGood Jobだろう。


まとめ

Halo 4は新たなトリロジーの始まりとして、果たして好スタートを切れたのか。
これまで述べてきたように、キャンペーンにおいては細かいところで不満点が見られ、特に新しい敵や武器の存在はお世辞にもGoodとは言えない状況だ。
キャラクターデザインにしても、どこかアメコミ調にデフォルメされたような質感に仕上げられており、この点は安っぽくも感じた。
チャプターにおけるゲームの展開もこれまで述べてきたように、基本的に一方通行で先が読める内容だったのはとても残念に思う。
幸か不幸か、今回のキャンペーンはとても短く、良く言えば締まりのある内容だが、これでもう少し長丁場のキャンペーンだったなら、退屈なシークエンスの連続にプレイヤーのモチベーションは確実に低下していたことだろう。(それでも終盤のアフターバーナーステージ以降のチャプターは蛇足に感じた。)

また、個人的にはフラッドが登場しないシリーズ本編というのも初の経験であり、ホラーSFとしてのHaloを感じることが出来なかったのは今後のトリロジーにおいても微妙な影響を及ぼすことになるだろう。
特に今回はフォアランナーを題材としており、そうなると必然的にフラッドという特殊生命体の存在は欠かせなかったはずだ。
Haloのキャンペーンにおいて、ジリジリとした緊迫感やタイミリミットの迫る焦燥感の欠如は決してあってはならないことで、今回はシナリオが極めてパーソナルな内容になっていた分、ちょっとした中途半端感は否定出来ない。
だからこそ恐怖感と嫌悪感をもたらすホラー的存在、フラッドを登場させることによって作品全体をもう少し引き締めて欲しかったように思う。
結局のところ、敵がコヴナント軍とプロメシアンの2種類では食い足りなさがどうしても残ってしまうのだ。

それに加えてテーマ曲の喪失も看過することが出来ない問題である。
海外レビューの中には手放しで今回のサウンドデザインを褒め称えている声もあるが、どういう耳を持っているのか逆に問いたい。
もし開発側があの名曲を出し惜しみしているのなら、あえてその必要性もなかったはずだ。
なぜならファンは5年も待たされていたのだから!
Halo 4Halo 3:ODSTやHalo Reachといった外伝的な作品ではない。
新たな3部作の幕開けを飾る記念すべき本編の正当続編である。
その意味を343 Industries社が本当に理解していたのか、疑わしいことこの上ない。

しかしながら、かと言って今回のキャンペーンが駄作であるという結論には決してならないのも事実。
私の場合、熱心なファンであるからこそ各所において不満が噴出してしまうのだが、シナリオそれ自体はシリーズにおいても屈指のクオリティだったと断言出来る。
むしろこれまで挙げてきた細かい不満点は全てこの素晴らしい脚本によってねじ伏せることさえ可能なぐらいだ。
常にアーマーで身を包み、ヘルメットを装着し、決して表情を見せないマスターチーフの内面に踏み込んだ描写の数々。
これら全ては新鮮な驚きを伴って誰もが物語の核心に引き寄せられることになるだろう。
確かに過去作品にあったような、ミリタリーSF全開の典型的なアメリカンヒーロー物語を期待すると拍子抜けしてしまうのは当然だ。
だが、初代の頃からマスターチーフとコルタナの関係を知っている人間からすれば、今回のようなコンテクストの流れは有意義で尚かつ感慨深い。
まさに映画のようにほろ苦い後味の残る素晴らしいラストを迎えた時、普段からドライな私にも込み上げてくるものが確かにあった。
ゲーム作品とはいえ、一級品のSFドラマとしても十分通用するクオリティだった。

そこから考えてみると、今回からが新章スタートとは言うものの、新参者にとってみれば少々敷居の高い作品とも言える。
マスターチーフとコルタナの大人の恋愛模様はもちろんだが、フォアランナーやハルゼイ博士、そしてHaloリングの話などは初見プレイヤーなら全く意味が分からないのではないかと思う。
つまり言い換えれば343 Industries社は、新参者はあえてスルーし、これまでのファンに向けて本作の開発を進めてきたということが分かる。
こうした開発姿勢は当然に賛否あるものの、基本的には正当に評価されて然るべきもので、まずは新デベロッパーのお手並み拝見という意味ではギリギリのところで合格ラインを越えたのではないかと思う。

本作を手にしたプレイヤーの中にも、これが初めてのHalo作品という方もきっといることだろう。
そんな方がもし本作のキャンペーンが気に入ったなら、これをきっかけに過去のHalo作品もぜひ体感してみて欲しい。
映画のスターウォーズがそうであるように、トリロジーは最初から順に追っていくことが望ましいからだ。
恐らくきっと、このHaloの物語の深遠さに誰もが舌を巻くことになるだろう。

結論として、本作はこれまでのファンの期待を裏切るものではなかった。
しかし、絶賛に値する名作の仲間入りかと言えばそうでもない。
救いは脚本にあり、このおかげで本作は何とかHaloという金看板に泥を塗ることを回避出来た。
次回作ではもう少し戦闘シークエンスを工夫あるものにしてもらえれば、と切に願う。
とはいえ、これからまた何年も待たされることになると思うと今から気が滅入ってしまうのだが。


おわりに

本作に関してはほとんどの海外レビューが満点、もしくは満点に近い評価を下していたが、ユーザーはそれに惑わされてはいけないという典型的な一例だ。
Bungie社という産みの親が開発から撤退し、ほとんど実績のないデベロッパーによって製作されたという点を考慮すれば、確かにフランチャイズとしての成功は頷けるものである。
しかし、ここ日本でもFPSというジャンルが幅広く浸透した現在、Haloの1人勝ちとはいかない時代であることも周知の事実。
シューターという競争の激しいジャンルの中で、強力なライバル作品も初代Xboxの頃から考えると倍以上に増えた。
そうした中で、作品としての独立性、優位性を保つためには、やはり伝統を維持しながら新しいことへの果敢なチャレンジしかないと思う。

発売前に私がHalo 4に期待していたのは、今までと変わらない作風が見たかったわけでもなく、もちろん過去の切り捨てが見たかったわけでもない。
一言で言えば、構造主義に基づいた創造的破壊というものを期待していたのだ。
それはつまり、全体の均衡がとれた中で、システムのオーバーホール及び再構築から生じる「誰も見たことのない未来」の実現だ。
これはまるでSF映画の宣伝文句のように陳腐な言葉だが、Haloはゲームという利点を生かしたエンターテインメントの可能性を無限に秘めているのだ。
今回の蓋を開けてみた時、343 Industries社は作品の骨格となる伝統そのものは上手に引き継いでいたと思う。
だが、肝心の新要素がパーフェクトとは言い難い出来だったのが非常に悔やまれて仕方がない。
ストーリーテリングが素晴らしかっただけに、尚更こうした新要素が中途半端に見えてしまう結果となっていた。

よって、総合評価も思うように点数を底上げ出来なかったというのが実情だ。
これまで私はHalo: Combat Evolved Anniversaryに94点、Halo 3: ODSTに88点、Halo 3に86点、そしてHalo Reachには84点を献上してきたが、本作が87点というスコアは我ながら妥当ではないかと考える。
もちろんこれは今回の脚本が気に入った人間の判断であり、そこに共感が出来なければ80点台前半に落ち着くことは容易に想像出来る。
マルチプレイの出来はシリーズ最高峰とはいえ、肝心のキャンペーンの戦闘については少々残念と言わざるを得ない出来だったからだ。

救いは343 Industries社にはチャレンジ精神が満ちあふれているということ。
その方向性、ベクトルの向きさえ間違わなければ今後の作品が傑作になり得る可能性は非常に高い。
このデベロッパーがそういったポテンシャルの持ち主であることは本作ではっきりと明確になったわけで、後は開発チームの舵取りを担うディレクター、そしてプロデューサーの腕の見せ所だろう。

私もひとまずはマスターチーフの帰還を素直に喜びつつ、周回プレイ、そしてマルチプレイを飽きるまでやり込むことにしよう。
次回作、Halo 5まではたっぷりと時間があるのだから。

おかえり、チーフ。



総合評価:87点




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