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NEODEAD MUSIC BLOG

音楽を思考する

世界は未完を渇望する(This Is Freedom)

CD Review

This Is Freedom「Welcome Home EP」★★★★☆


これぞモッツァレッラ

前回の記事でチーズの話をしたのでその延長戦として今回も軽く聞き流してくれるとありがたい。
唐突だが、モッツァレッラチーズというのはナチュラルチーズの中でも熟成させないフレッシュチーズに分類されるそうだ。
確かにゴーダチーズやブルーチーズに比べると癖もなく、それこそ前菜やパスタなどにも重宝される万能型のチーズと言える。
そして弾力のある独特な歯応えはモッツァレッラならではの魅力であり、この食感と癖のなさが人気の要因だろうと思う。

さて、本日紹介するThis Is Freedomはまさしくモッツァレッラと呼ぶにふさわしいフレッシュなバンドである。
前回取り上げたブルーチーズの如き、玄人好みなSuedeとは見事に対照的だ。
まずは代表曲「Bitter」でその歯応えを確認してみて欲しい。
抑制されたイントロからミドルシップなVocalが入り、サビではカレッジ系バンドらしい青臭い塊感を味わうことが出来るだろう。
例えばこれはWalk The Moonのような若さ故の疾走感だけでなく、O Childrenにも通じる味わい深い大人の風格さえ漂わすところが何よりも素晴らしい。
また、タイトル曲「Welcome Home」におけるサビメロなどはAnberlinを彷彿とさせる美旋律であり、一見して私好みなサウンドだ。
本EPにおける終曲「Sticks and Stones」についても若手とは思えない落ち着いたグルーヴを構築しており、これは乾いた喉を潤す炭酸飲料のように爽快極まるものである。

良い意味で、あふれんばかりの未熟さと憂いの大人感が共存した独特な世界観がここにある。
これを未熟さと切って捨てるのはいささか乱暴な話であり、熟成されていない=経験値の低さ、という推論は彼らの前では通用しない。
もちろん、「St. Helena」や「Hurricane」におけるギターソロやコーラスアレンジなど、あと一歩と思わせる部分は散見されるのだが、果たしてそれが作品の評価を落とすまでには至らないのが彼らの魅力でもある。
未完であることは裏を返せば可能性という武器にもなるのだ。
This Is FreedomはこのEPでまさしくそれを自ら証明したとも言えるだろう。


メインディッシュはいつ?

ただ1つ気になるのは、このEPリリース以降、バンドの音沙汰が全く聞こえてこないところだ。
順番から言えば、次はもちろん1stフルアルバムということになるのだが、そんなニュースも一向に流れてこない。
今回紹介した「Welcome Home EP」は2011年のリリースであり、2013年の今、そろそろメインディッシュとなるアルバムが発表されてもおかしくない。
新人バンドにしてはむしろ遅過ぎると思うのだが、もしかして。
こちらの嫌な予感を後押しするかのように、バンドの公式FacebookTwitterMy Spaceなど全て1年以上前に更新がストップしている。
願わくば未完の完成形たるフルアルバムを一刻も早く体験してみたいのだが、果たして。

出来れば今年中にもWelcome Home、いやWelcome Backと彼らに言える日が来ることを信じて、今は吉報を待ち続けたい。
そう、This Is Freedomは待つ価値のあるバンドなのである。





This Is Freedom「Welcome Home EP」- iTunes Music Store