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NEODEAD MUSIC BLOG

音楽を思考する

ルーマニアのLaurentiu Dutaについて

CD Review

Laurentiu Duta「Raza Mea De Soare」★★★★☆


魅惑の泣きメロ共和国

欧州の中でも特に哀愁系Dance Popを得意とする国、ルーマニア
最近ではAlexandra StanやInnaといったディーバ勢が世界的にも成功を収めるなど、その注目度は日増しに高くなっている。

しかし、このルーマニアも世界的なEDMブームに迎合してしまったのだろうか、この1年で楽曲的には軽薄でパーティースタイル的なものが増えてしまったように思う。
つい数年前まではレトロモダン、いやレトロクラシックとも言うべき懐古風Epic Houseがチャートにも食い込んでいただけに、この辺りは一抹の寂しさがある。
例えば分かりやすいところでDJ Projectの楽曲を試聴して頂きたいと思う。



このデジャヴ感、古くはReal McCoyや2 Unlimitedの時代を知る人間にとっては、思わず涙腺が緩んでしまいそうなノスタルジックな楽曲に聴こえると思うのだが、この妙に土着的でバタ臭いところがルーマニアンポップスの最大の魅力であり、遠くアジアの島国に住む我々からすれば、それはまるで魅惑のチキチキルームに迷い込んだ子供同然といった具合だ。

今回紹介するLaurentiu Dutaも、数年前にはBentu de Soli名義で素晴らしいDance Pop寄りな楽曲を披露しながら、その後はユルいAOR路線を邁進するなど、いささか期待外れ感は否めない。
そもそもBentu de Soli名義でのリリースがこの1曲だけで終わってしまったこと自体が不可解であるし、楽曲のクオリティが高いだけに尚更残念無念である。
音楽的にはChicaneやDinka系統に分類されるProgressive House直系のサウンドだが、民族的で印象的なソフトシンセが華を添えており、Club Music的に見ても価値ある1曲だと思う。



その風貌はまるで父ちゃん坊やのLaurentiu Dutaだが、元々は3rei Sud EstのVocalであり、2008年以降はシンガーソングライターとして活動するベテランでもある。
今回最後に紹介する新曲は、残念ながら中途半端なAOR感満載で漠然とした物足りなさを感じてしまうのだが、その歌唱力に衰えはなく、だからこそBentu de Soli名義での復活も含め、今後の活躍に期待したいと思う。



各地で盛り上がるEDMに影響されるのも理解出来るが、ルーマニアこそ本来のルーマニアらしい土着的な哀愁系Dance Pop路線を貫いて欲しいと思う。
少なくとも音楽という文化において、杓子定規なグローバリゼーションは必要ない。
その土地、その地域において、特異で独特な音楽が育まれてこそ文化としての価値があると、私は思うのだ。


Laurentiu Duta Official Youtube
Laurentiu Duta Official Homepage